年下くんの事情

一途

翌朝、麻理子はもう、何も考えないようにして
仕事にだけ、集中することにしていた。
なのに・・・

「やぁ!仕事してる?」
受付のカウンターに両肘を置いてにこやかに麻理子の前に立つ龍。

(今日は会いたくなかった・・・)
龍に聞えないように小さなため息をもらしながら、
無視することもできず、相手をすることにする。

「何しに来たんですか?」
「やだなぁ・・・立派に仕事で来たんですよ。」
「・・・・・・あなたの職場は受付じゃないでしょう?」
「まーそー怖い顔しないのっ 営業課の村上さんから伝言預かってるの。」

「ちょっ・・それ早く言ってくださいよっ」

メモにペンを持ってスタンバイする麻理子だったが、
全部言い切ってしまうともったいないとばかりにもったいぶる。

「で~ え~となんだったかなぁ~」

「あのねぇ・・・・・」

今にも怒鳴りつけそうになった時、麻理子の左後ろに人影が近づいてきた。

「どうも、1時からのお客さん、まだ来られてないかな?」

寺山だった。
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