年下くんの事情
6章 プチデート?
「うっわ、あと30分で来るよ・・・ 駅まで歩いて5分として・・ 急いでお風呂に入らなきゃ!」
麻理子は着替えを用意すると、急いでガウンと下着を脱衣所のカゴに脱ぎ捨てた。

ゴォーーーブォォーーー
さきほど食事をした、テーブルの上に大きな鏡を立てて、
それを見ながらドライヤーをかけている。
お化粧!どうしよう・・・落としたばっかで又するのかー・・めんどくさいよぉ・・。
そういいつつ、ファンデーションと眉毛を書くことだけは怠らない。
「わっもう20分過ぎた! 急がなくちゃ」
唇にリップベースの口紅を塗りながら、カバンを持って ブーツに足を入れようとした瞬間、
慌ててテーブルにもどる。
「これないと 大変!」
そう言うとテーブルの上の携帯をつかんでカバンに入れる。

玄関を出ると外は雨があがり、地面は両端だけに水溜りが残っていた。
コンクリートは濡れたままで キラキラと光を反射させている。
カッカッカッ 高いヒールの音が、シーンと静まりかえった、暗い町並みに響いている。
麻理子がお気に入りのパン屋さんも、もう、シャッターを下ろして眠りについているようだ。
< 44 / 107 >

この作品をシェア

pagetop