年下くんの事情
「たしかこっちの方から来てたよな」
「うん。」
お?

麻理子の顔を見やると目はつぶったまま、鼻息がものすごく荒い。
どうやら まだ朦朧としているようだった。
「この信号 どっちに曲がればいい?」
「パン屋のあるアパートなの」
・・・・は?

龍は周りを見渡した。 何処にも看板や、占められたシャッターに書かれている文字も
パン屋らしき名前は見当たらなかった。
信号を右に回るとスーパーがあり、 その近くならパン屋があるのかと思った龍は
麻理子の家とは反対の方向へ進もうとした。すると。
「そっちじゃないの ウフ。」
どっちだよっ!

次は左へ曲がろうとしてみた。
麻理子の様子を伺う
「そっち進むとツタヤがあるんだよ フフ。」
家じゃないんかい!

残された道はまっすぐ奥へと入る道しかなかった。
奥へ進むと 強制的に左へしか曲がる道が無く、 しかたなく左に進むと
ボロアパートの1回にベーカリーと書かれた文字のシャッターが目に入る
「ここか!」
「えっ・・ここって・・人住んでんの?」
見上げると、アパートというよりも、長屋と言う言葉がピッタリ当てはまるような
古臭い、錆びた手すりの狭いベランダに すだれで日除けをつくられていたり、
アロエやサボテン等が置かれている。
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