年下くんの事情
ハァ・・・ハァ・・・ ちょ・・バスどこだよ?

「え・・・・なによ 今バスに置いてかれて 感傷に浸ってるのに・・・ぶつぶつ」

「えーーーー!なんで待っててくれないんだよ」

「ほんとよね!って・・・?!!」

麻理子の横で黒いビニールのジャンバーを着た男性が膝に両手をついて激しく息を吐いた。

「カーー! やってらんね もー なんでだよっ!」

町の静かな雰囲気と同化しつつあった麻理子には 、同じ最悪な状態にあるのに
かからわず、生き生きとした彼の動作が、温かく眩しかった。

「あの・・大阪駅行きのバスに乗り遅れたんですか?」
麻理子はおそるおそる聞いてみた。
そこからなにが進んで、どう膨らむのかもわからないまま。

「あ・・はい。 そうみたいです。お宅も?」
遅刻をしてきた 学生のような顔で 応える男。
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