年下くんの事情
「やってみるか?」
「で、どんな仕事?」
「今からお前、早乙女のビルへ行って面接受けてこい」
「え・・・今から?」
「茶・・・飲んでから行けよ」

カンカンカンカン・・・
階段を軽快に降りながら 龍の心は浮ついていた。
正直、家の中に篭って、株の動きを気にしながら勉強する日々に疲れていた。
だからこそ、試験に落ちて みごとに浪人になった記念にと、一人旅行をしたんだろう。
「俺の・・・俺だけのオフィス・・・で・・・・静かに勉強?」
龍、足を止めて妄想に浸る。

「コンコン・・・」
「はい、どうぞ」
「紅茶をお入れいたしました」
ガチャリ・・・ドアを開けて、黒いタイトなスーツ姿の女性が入ってくる。
「ありがとう。 ここに置いてくれたまえ」
「はい・・。」
コト・・・
「お砂糖はおいくつお入れいたしましょうか?」
「あっいいよ・・自分で入れ・・」
女性、ミルクのビンを持つ、龍の手の上にそっと手を添えながら
「いいえ・・龍様・・・これは私(わたくし)が・・」
龍、その女性と見詰め合っていると・・・
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