年下くんの事情

「藤和物産・・三森様・・・１４：００に寺山さんと打ち合わせかぁ・・ 共同開発なんてすごいなぁ～」
「次は・・・安達様・・・ん？どこの安達様？ しかも人事部か・・面接かなぁ・・ この時期に？？」
ブツブツと独り言を言う麻理子に先ほどの女性が
「あれじゃなぁーい？夕子さんのペット君！ アハ！」
羨ましそうに胸の上で両手を結んで目をつぶっている。
「・・・へ？何それ？」
「あら、知らないの？ 人事部にはね、早乙女グループの社長の娘、早乙女夕子さんが
勤めておられるのよん」
「へぇー そうだったんだぁ」
彼女は続けさまに 麻理子の肩を自分へ寄せながら小声で言う。
「噂だけどぉ・・ここの男性社員はね、みんな夕子さんが面接に立ち会ったらしいよぉー」
「まぁ・・そりゃー 人事部だもんねぇ・・・」

バシッ
肩をつかんでいた手が離れたかと思うと、背中に衝撃的な痛みが走った。
ブラの金具の部分を彼女に叩かれたらしく、甲高い音がした。
「ばっかねぇー 違うわよっ そこじゃなくて、 彼女が知性、感性、ルックス、家柄共に優れた
男たちを集めたってことなのよっ」
「ふぇぇえええ そりゃすごい・・・ じゃぁあの人も？ あの人も？」
ロビーでくつろぐ写真達を指で指しながら確認する。結構みんなイケメンだった。
「フッフッフッ だから！この安達さんって方もきっといい男間違いなしっ！」
あの人も・・あの人も？ 麻理子はまだ確認を続けていた。