年下くんの事情
「しゃーないな・・ あのさっ こうなったら 今晩泊まる所を探すしかないっしょ?」
俯いて動こうとしない麻理子の顔を かがんで覗き込む男。

このしぐさの優しさに 麻理子は ようやく次の言葉を発することができた。

「あの・・ 私一人じゃ心細くて・・・うぇ・・ ぐ・・ 」

「はぁ~・・・・ボリボリボリ」
また頭を掻きながらため息をつく男

「あ・・あの、一緒に泊まる所を探してもらえませんか?で・・良かったら翌朝一緒に
帰ってもらえたら・・・あの・・。」
しばらく沈黙が続いた。

「いいですよ・・・フッ。」

「え?」
麻理子、驚いて俯いていた顔を上げる、 ふいにまりこの目から涙が落ちた。

(ちょっと・・ 今笑った? やっぱり私のことバカにしてるんだ~!)
(でもいいや・・・大阪駅に無事に着くまでの我慢よ。 )
心の中でこう思うも、このチャンスを逃すわけにはいかないと思った麻理子は続けさまに礼を言う。

「あっありがとうございます!私、石川麻理子と言います。」
「冷えてきましたね! この近くの旅館から回りましょうか。」

「あ・・・あぁ。」
妙に手回しの良い麻理子の様子にあぜんとする男。
旅館に着くまでに 男の名前や年を聞くことができた。
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