くれなゐの宮
そんな彼女は突然、何か思いついたようにハッとおれの方を向くと、目を輝かせた。
「そうだ!チサトも祭りに参加するか?私も一度は行ってみたいんだ。」
「え?」
「ひ、ヒメ様…!?物騒なことを仰らないで下さいまし…!」
途端、大袈裟なほどに口々と叫ぶ宮女たち。
「そこまで止めにかからなくても…。」
少々ふてくされたようにイロヒメが口をとがらせるが、宮女たちには一切通用しない。
「神ともあろう方が、下町の人間と戯れるなど言語道断。…なりませぬ、ヒメ様。」
宮女の言葉を聞き、黙り込む彼女。
心なしか…かなり落ち込んでいるようにも伺える。