くれなゐの宮
正直、自分が何を考えていたのかも分からないくらい混乱していた。
どうすればいいのか分からないまま、何もかもが受け入れられなくて。
気が付くと、寝台で眠るイハルの隣にしゃがみ込み、髪から簪を引き抜いていた。
そしてそれを彼女の喉元に突き立て、静止する。
無意味な葛藤だとは分かっていた。
でも自分を守るためにはこうするしかない。
生きるためにはこうするしかない。
死にたくないんだ。
まだ、おれは生きたい。
だからこうするしか―――――
まさにその簪を突き立てようとした刹那、
イハルの瞳から、涙がこぼれた。