くれなゐの宮
「……か、…りたい…。」
悪い夢でも見ているのか、次第に震えだす彼女の体。
「…ごめん、なさい…」
「…っ、」
我に返り、思わず簪を放り投げた。
カランコロンと音を立てて寝台から転がり落ちる簪。
それが動きを止める前に、おれは崩れるように寝台から身を引いた。
瞬きさえも忘れて床を見る。
震える心を止めるかの如く、脈打つ手首を強く握りしめた。
——死にたくない。
でも、もし彼女に何の罪もなかったとしたら…
おれはただの、
ただの
人殺しだ。