くれなゐの宮

イハルはおれより何倍も強い。

自らも辛い過去があるのに、どうしてそんな表情が出来るのだろう。



不思議と自分の中でイハルが特別な存在になってきているのに気が付いた。

まだ出会って数日。

初めはあんなに恨み、憎んでいたのに。



―—どうしてだろう。

今なら思う。



二人でなら、この現状を変えられるのではないかと。



この国から出られるのではないかと。


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