くれなゐの宮
帰還

数日が経った朝、宮中はとても騒がしく、

目覚めるが否や宮人に着替えるよう急かされ、更に普段とは布の質も重さも違う豪華な服を渡された。

昔、本で見た狩衣と呼ばれる服に良く似ていたが、少し違うようだ。


大慌てでそれに着替え部屋を出る。


すると今度は紅ノ間に行けと言われ、向かえば、

急ぎ足で宮人や宮女が行き交う騒がしい部屋の中心で、

宮女たちに身支度を施されるイハルの姿があって。


彼女は紅で統一されたとても豪華な衣服を纏い、独特の化粧を施されている最中だった。


遠目ではあったがイハルはこちらに気が付くと、口元を緩め、小さく手を振る。



流石に手を振り返す事は出来ず肩を竦めて小さく一礼すると、すぐに宮人に呼ばれ、彼女の元を後にした。


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