くれなゐの宮
彼は自らが持つ酒瓶数本をおれに手渡すと、ついて来いと言って神の間から出ていく。
どうやら神と王が合う場所はここではないようだ。
「えっと、チサトだっけ?お前ここで結構有名だぞ。生贄にしては大人しいし礼儀正しいし、結構顔も良いから、女どもが色々と噂してる。」
「え?」
「え?っておまえ知らなかったのか?…これだから色男は…。まぁなんにせよお前が死ぬのは勿体ないって皆言ってるよ。」
「…そ、そうなんですか。」
どうすることもできず、適当に相槌を打っていると彼は突然大きなため息を吐いた。
「俺も死にたくないなぁ…。」
思わず男の方を見る。
死にたくないって、どういう事だ?
死ぬのは生贄だけじゃないのか…?
不思議に思い、思い切って何故貴方も死ぬのかと問いかけた所、とんでもない返事が返ってきた。