くれなゐの宮
「ここで働くヤツらは、遅かれ早かれ皆死ぬよ。お前みたいに殺されるってわけじゃないけど…ある程度働いて上級の職に就くと、自殺しなきゃなんねぇ。
綺麗な言葉で言えば、この身を本当の意味で神に捧げるんだ。」
彼は無意識にか下唇をギュッと噛んだ。
その目は少しだけ狼狽えていて、慄いているように見えた。
「…紅ノ宮で働く事は最も光栄で尊い事なんだ。ここで働く者がいれば、その者の一族の幸福が保障される。
皆、信じているんだよ。
神の元で働き、死ねば、幸せになれるってさ…。
でもそんなの…まやかしに違いねぇよ。
俺は知ってる、シキガミは所詮人間だってこと…。
だから俺は…そんな神の為に死にたくねぇ。」