くれなゐの宮

「もしお前が私に勝てば、今までの無礼を許してやろう。

しかし私が勝ったその時には…全てを詫びて、ここで死ね。」


王は吐き捨てるように言うと、庭の舞台へと歩み出た。


「そんな…勝てるわけがない、」


広間に立ちすくむ宮人達はチサトの敗北を予想する。

この私でさえも、彼の勝利を保証できる訳がなかった。


「何をしている。怖気づいているのか?生贄が。」


圧倒的な自信を背に、挑発する王。

私は王を無言で見据えるチサトに言った。


「さ、下がれチサト!ここで戦っても勝ち目はない、」


だが、



「……。」



彼は静かに剣を取った。

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