くれなゐの宮

「……イハル様。」


すると突然チサトが口を開く。


「なんだ…?」


「イハル様は…先の王をどう思っていらっしゃいますか。」


「…どうって…。」


王の事など、どうとも思っていない。

寧ろ上手くいけば、暫くは神ノ宮には来ないだろう。

あの状況も元はと言えば向こうが仕掛けてきた事だ。

それか、もしや…


「もしかして…私が王に気があって、悪い事をした…とでも思っているのか?」


愚問だとは思ったが、彼は何も言わない。


「まさか本当に…そう思ってたのか?」

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