くれなゐの宮
変化
先の一件でおれの周りの環境が、大きく変わった。
まずこの神ノ宮で唯一、帯刀が許された事。
勿論帯刀が許されたのは神の護衛が目的だ。
二つ目に生贄だからと倦厭されなくなった事。
話しかけてくれる宮人や宮女が増えたことはとてもありがたい事だと思う。
そして最後に…
「あ、あの…風呂に入りたいのですが…。」
「あっ、す、すみません!」
「私ったらやだわ…!」
「もう、何してるのよ!」
どこかへ行く度、宮女たちに追い掛け回されるようになってしまったこと。
これじゃあ宮を歩くのだけで一苦労だ。
「全く贅沢な悩みだぜ…。」
それを隣で湯船に浸かるナズに相談したところ、彼はやれやれと首を横に振った。