くれなゐの宮
「な、なにするんですか!」
「ち、ちょっと待て…!皆お前の剣舞が見たいんだよ!」
「ハァ?」
ナズに耳打ちされ、おれは周りを見渡した。
するとどうだろう。
悲しきかな、彼らはじっとこちらを見たまま目を輝かせている。
「頼む!饅頭に加えて団子もやるから、俺のメンツをどうか守ってくれよう…」
そんなこと知るか!と吐き捨てて帰りたい衝動に駆られたが、いかんせんナズを見捨てる事も出来ず…
おれはため息を吐くと剣を片手に渋々広間の中央に立った。
「切られたくなかったら、後ろまで下がっいてください。」
天井の高さや部屋の広さを確認し、鞘を抜く。
そして大きく刀身を右へと薙いだ———。