くれなゐの宮
何やら柔らかいものの上に着地した気がして、慌てて上半身を起こした。
「……?」
間もなく紅色の瞳と目があう。
————瞳?
そう脳が認識した時、とんでもない衝撃が体全身の神経を刺激した。
まるで雷に打たれたようにおれは寝台から飛びのき、反動で手から離れた福屋の饅頭が宙を舞う。
寝台にいたのは、イハル。
「…なんでここに…!」
顔を真っ赤にして慌てふためくおれだったが、彼女は何事も無かったかのように起き上がると、側に着地した福屋の饅頭を見て「おお!」と感嘆の声を上げた。
「福屋の饅頭と団子ではないか!」
嬉しそうにそれらの包みを開き「食べていいか?」と、目を輝かせる彼女にどう反応していいか分からず、とにかく首を縦に振る。