くれなゐの宮
返事をするが否やすぐに饅頭と団子を美味しそうに頬張り始めるイハルを、おれは呆然と床に座り込んだまま見ていた。
何が起こっている?
何が起こっているんだ。
どうして彼女がおれの部屋に?
必死に脳やら心臓やらを落ち着かせ、問いかける。
「…イハル様、何故俺の部屋にいるんです…?」
「何故って…お前の帰りが遅かったから見に来てやったと言うのに。」
だからってどうして寝台なんかに…!
思わず片手で顔を押さえ俯く。
ここまで来るともうイハルを責めるよりも、自分の不甲斐なさを責めるしかない。
しかし流石にこれはいささか予想外過ぎるだろう。
再び鼓動を打ち鳴らす懲りない心臓を押さえつけ…頭を数度振った。
やがて饅頭と団子を瞬く間に胃袋に収めた彼女に、近くへ来るよう手招かれる。