くれなゐの宮
その後はナズが話を進め、彼女が間違いなく人間である事を告げるとともに、
おれはナズとトウカに最も重要な事を告げた。
『シキガミは、何も悪くない。』と。
誰にも言わない事を約束させ―実際には剣をチラつかせながら半ば脅して―おれは彼女がどういう存在で、どのような境遇で神となったかを話した。
イハルには悪いなと思ったが、このまま何も知らず恨まれてしまうよりはきっと良い。
彼女には何の罪もなく、勿論ナズにもトウカにも…おれにだって罪はないのだ。
おれの話を聞き…二人はとても複雑そうな表情を浮かべ、暫く黙り込んだ。
全ての元凶が神にあればどれだけ良かっただろう。
神だけを恨むことができたらどれ程楽だっただろう。
『確かにおかしいとは思ってたんだ。あの髪の色、瞳の色、肌の色、顔の造りは、どう考えても俺らと同じじゃねぇ。
例え極稀にとんでもない美人が生まれて、何かしらの病を抱えていたとしても、あの紅色はあり得ない。』
ナズは、そういう事だったのか、と呟くき拳を力強く握りしめた。