~ユメノザンガイ~
『雪明りの中で』


寒がりな君は
冬になると
外にでたがらない


2人だけの部屋

のんびりと他愛ない話をし続ける

いつも聞き役な僕

そんな時間も
好きなのだけれど…


雪の日だけは特別な日

君は自ら外へと飛び出る

白い絨毯の上を
音を立てて走り回って

無邪気度100パーセントの君が見れる


2人ゆっくり足跡をつけてまわる

車の音、
電車の音、
人の話し声、

なんの音もしない
静かな世界


月や星のわずかな光が
積もった雪に反射して
うっすらと明るい


何度も2人で歩いた道も

別世界の様に見える


普段は甘えてくれない君

「寒いね」と、
僕に寄り添ってきた


君の顔は真っ赤で

僕しか知らない表情で…



その顔を見て、
僕の顔も真っ赤になる



「……そうだね」



たった一言しか
返せなかった

無口な僕の精一杯




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