~ユメノザンガイ~
『たったひとつしかないもの』



ボクには
捨てられないものなど
何もないと思っていた



すべて
くだらないって思っていたから



なんて
くだらないんだろう


持っているモノも
しがみついているモノも


ぜんぶ
くだらないじゃんか



だから
すべてを簡単に
捨てることができたんだ



両手には何もなくって

肩にだって何もない

足にさえなーんにも
くっついていないんだ



軽かった

楽だった

自由だけが広がってた



ずっと、
ずーっと、
それでいようって思った




でも、、、
突然
欲しいモノが
できてしまったんだ


欲しくて、

欲しくって、

たまらなくて



ほかのモノじゃ
満たされないんだ



たったひとつのモノ
追い求め旅に出た



何年も探し回ったんだ


何十年もイライラして


苦しくなってきた


疲れてきたんだ…



もう見つけるコトなんて
できないのだと思った



諦めた自分
手に入らなかったという苦痛
何もない自分



何もしたくなくなった
動きたくなくて
座り込んで
俯いたまま…



時だけが虚しく
過ぎ去っていくだけ




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