誘惑~初めての男は彼氏の父~
 自宅ではちょっとそんな気分にはなれないので、別の場所となると・・・このようなホテルしかなかった。


 再び車に乗り、海辺の小道を走り抜け、たどりついたのがこの海辺のホテル。


 待ちかねたように私は、和仁さんの胸の中に飛び込んでいた。


 いけないことだとは分かっているのに、思えば思うほど私の身体は・・・。


 明け方、最後に甘いキスを重ねたところで、私の記憶は途絶えた。


 それからチェックアウトまでの間、ただひたすら深い眠りを貪っていた。


 ・・・思えばこの人と朝を迎えるのは、初めての経験。


 高校生の頃は門限があったし、あまり遅くなると母親が心配するので・・・夕方から夜にかけての短い逢瀬だった。


 それが今こうして、抱かれながら朝を共に迎えることができた。


 眠りの中でだけは、甘い幻想に浸っていられる。


 その分目覚めてからは、さらに苦しい物思いに捕らわれるであろうということは、最初から分かっていたはずなのに。
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