誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「じゃ帰省の際は、何日間か会えないね」


 「・・・」


 去年は二週間帰省した。


 今年はバイトと、夏休み中の短期集中講義に出席するため、一週間程度が限度だった。


 「一週間もか・・・。我慢できるかな」


 気が付けば車は郊外の、人通りの少ない公園の脇に停車していた。


 「あ」


 ここはどの辺りか、周囲の風景を見て確認をしようとした私の、肩に佑典の手が触れた。


 たちまち抱きしめられた。


 「本当に会いたかった」


 実感を込めて囁かれた。


 「たった四日間なのに、会えない時間は長くて長くて・・・」


 四日間の空白を埋めるかのように、佑典は私を抱きしめる腕の力を強める。


 「四日間でもこんなにつらいのに、一週間も離れているなんて気が狂いそう。行かせたくない」


 「私も寂しい。でも祖父母に会える機会はもうそんなにあるわけじゃないから、今のうちに孝行しておきたいの」


 祖父母はまもなく八十歳。


 いつまでも生きていられるわけじゃない。
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