誘惑~初めての男は彼氏の父~

耽溺

***


 それ以来、試験と集中講義、レポート作成にバイトなど、慌しい日々が続いた。


 佑典はそれに加えて、オーケストラ部の練習も続いている。


 オーケストラ部は文化系の部活動に分類されているけれど、実情は体育会系並にハードだ。


 大きな楽器を演奏するには、かなりの体力を有する。


 そのため佑典は毎朝、5キロだか10キロ走っているらしい。


 たまに近所の人に、陸上部員と間違われることもあると話していた。


 他に朝錬もあったり。


 上下関係もかなり厳しくて、実質体育会系とさほど変わらないような生活をしている。


 ・・・ここまで部活動に命を賭けているものの、佑典は大学卒業と同時に、活動からは一線を引くと前々から語っていた。


 できれば教師となって、部活動の顧問などとして楽器に一生付き合っていくことは望むけれど、あくまでそれは趣味の範疇。


 「プロを目指す気合いも、実力もあるわけじゃないから」と言い切っている。


 趣味として続けていければ十分だと。
< 122 / 433 >

この作品をシェア

pagetop