誘惑~初めての男は彼氏の父~
 ホテルのフロントで食材とバーベキューの炭や着火剤を受け取り、ログハウスまでは徒歩五分強。


 右側には森林、左側にはゴルフ場が広がっている。


 大自然に囲まれた小道を、二人並んで歩いた。


 ログハウスに到着すると、キーは私が持っていたので鍵を開けた。


 温泉に行ってる間、窓は最小限を残して閉じていたので、棟内は熱がこもっている。


 急いで窓を開け、空気の入れ替え。


 とりあえずアイスボックス内の食材を、備え付けの冷蔵庫へと移した。


 ログハウス内には冷蔵庫の他、テレビや扇風機までも用意されている。


 佑典が携帯電話を充電器に刺し、コンセントに繋いでいたので、私も倣った。


 その際に私は、電源をオフにした。


 ・・・和仁さんからの着信を防ぐために。


 そして再度、冷蔵庫の前へと戻った。


 持参したビールは到着後すぐ、冷凍庫に入れておいた。


 触って確かめると、温泉に行っている間に十分冷えていた。


 「佑典、いい感じで冷えてるかも」


 ・・・取り出したビールを、私は床に落としてしまった。


 背後から突然、佑典に抱きしめられたから。
< 131 / 433 >

この作品をシェア

pagetop