誘惑～初めての男は彼氏の父～
　｢その事件、大学でも話題になってたかも｣


　｢ほんと信じられないよな。もしうちの父親がそんなことしたら、即刻殺して俺も自殺したくなるよ。もう恥ずかしくて生きていたくない｣


　｢そんなこと･･･｣


　私とのことを知ったら佑典はどうするだろうと、また不安になった。


　｢ま、そんなことはしないって、信じてはいるけどね。あの人だって一応男だけど、いい年して分別できないほど馬鹿じゃないだろうし｣


　逆に考えると。


　もしも私の母親が、私くらいの若い男と付き合っていたりしたら？


　母は父とは死別していて、独身とはいえ･･･やはり違和感を覚える。


　母だって女だし、恋愛は自由とはいえ、どうしても受け入れられないかも。


　淫行のニュースは一段落したと思ったら、次は振り込め詐欺、そして死亡交通事故の報道。


　｢気の滅入るニュースばっかりだね｣


　｢プロ野球は調子いいのが、唯一の救いかも｣


　｢先週のサッカー、FC北海道はどうだったかな｣


　しばらく雑談が続いた後、会話が途切れた。


　少し見つめ合い、そして私たちは距離を詰めた。
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