誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「理恵、おいで」


 手首を掴まれ、引き寄せられた。


 そのままソファーの上で、軽いキス。


 当然一度きりで終わることはなく、二度三度と繰り返し・・・。


 キスの合間に、棚の上に置きっぱなしにされている、私の携帯電話が視界に入った。


 電源を切られた状態のまま充電され続けている。


 もしかしてさっき、バーベキューの最中、和仁さんが私に電話をかけてきたんじゃないかなって思った。


 電源が切られた状態になっているため不審に感じて、探りを入れるために次に佑典に電話してきたような気がする。


 私が佑典とこういうことをしてるかも・・・って想像して、あの人はどう感じるのだろう。


 自分がどんなに不実で卑劣なことをしているかは、十分に理解している。


 罪悪感に苛まれ続けている。


 でも私は・・・。


 「佑典」


 「何?」


 「もっと強く・・・抱きしめて」


 何もかも忘れたかった。


 これは運命のいたずらで、私が意図したわけじゃないという思いが私を開き直らせた。
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