誘惑~初めての男は彼氏の父~
 ・・・満足するほど景色を見入って、ようやく私たちは半島の先端を後にした。


 「そろそろ帰らないと、日付が変わっちゃうね」


 本当なら日の入りまでずっと見ていたかったけど、明日の予定がきつくなるのでそろそろ引き上げることにした。


 明日は朝から佑典は部活な上、私は六時台の特急で帰省。


 二人のスケジュールが、どうしてもこんな強行日程な旅行しか可能にしなかった。


 本当ならばずっとずっと一緒にいたいのだけど・・・。


 「明日のこともあるし、今回はあまり無理しないでおこう。また夕日見に来ようね」


 佑典は決して私に無理強いしない。


 それがありがたくもあり、もっと強引に振り回してほしいなどと内心、わがままな願いを抱いたり。


 ・・・そのまま帰路についた。


 往路は日本海に沿って、海沿いの国道を走ってきた。


 復路は逆側から、山の中を貫く別の国道経由で。




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