誘惑~初めての男は彼氏の父~
 シャワーを終えた後、うつむいたまま佑典の横を通り過ぎ、そのままベッドに直行した。


 室温が少し高めだったので、エアコンの設定温度を下げて。


 助手席に座っていただけなのに、なぜだかどっと疲れが出て、佑典を待っている間ちょっと横になっているつもりがいつしか寝てしまった。


 エアコンの風を冷たく感じたのか、無意識のうちにタオルケットに包まりながら。


 ・・・。


 「・・・理恵、寝ちゃった?」


 佑典に揺り起こされ、はっと目を覚ました。


 何時間も寝ていたように思えたけど、枕もとの時計で確認したところ、ほんの十分程度しか時間が経っていなかった。


 短い睡眠が効果的だったようで、すっきり目が冴えた。


 「佑典、こっちに来て」


 手を取り、ベッドの中に佑典を招き入れた。


 「私を暖めて」


 その胸に頬を寄せ、やがて全身を委ねる。


 「理恵って、俺が思っていたよりずっと・・・」


 佑典が一瞬、言葉を飲み込んだ。


 何かネガティヴな単語が続けられると予感して、私は恐れを抱いた。
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