誘惑~初めての男は彼氏の父~
 ・・・。


 「積丹で夕日見てきても、同じだったかも」


 抱き合った後、ベッドの中でしばし時を重ねていた。


 そろそろ夕刻、日が沈む頃と思われる。


 ホテルの窓はプライバシーを守るためか、あまり開かない。


 わずかに開いた隙間から、夕刻を告げる日の光が差し込んできていた。


 ・・・明日のことを考えて、早めに積丹半島を後にしたはずだった。


 なのに衝動的にこのホテルに立ち寄り、何時間も費やしてしまって。


 こんなことになるんだったら、積丹半島の荘厳なる夕日を見ておきたかったとも後悔した。


 「いいよ。理恵と一緒に過ごす時間には、変わりないんだから」


 佑典は優しく、私の髪を撫でる。


 ・・・私の気まぐれな行為を責めることなく、全て受け止めてくれる人。


 そんな佑典の厚意に私は甘えきっているばかりか、利用しているのも事実。


 「ごめんなさい。いつも気まぐれで、振り回してばかりで」


 「・・・俺は理恵に、振り回されてなどいないよ。好きだからそばにいるだけだよ」


 再びそっと唇を重ねた。


 ・・・私、いつか罰があたりそうな気がする。
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