誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「地元には高齢の祖父母もいます。ショック死したら困るので、追いかけてこないでください」


 これはかなり本音。


 「そうだね(笑) 理恵が帰省からこっちに戻ってきてからにするか」


 現時点では海を隔てた離島に滞在中、身動きが取れない。


 仕事を追え帰宅しても、立て続けに次の撮影が詰まっているようで、当面は忙しい日々が続くらしい。


 実際のところ、私を追いかけている時間などないはず。


 「帰省明けを、楽しみにしているよ」


 メールの送受信を続けているうちに、私は故郷の町にたどり着いていた。


 夏の終わりとはいえ、依然として暑い毎日の続く札幌だったけど、故郷も負けずに残暑の日々だった。


 真っすぐ実家へ向かい、懐かしい我が家を満喫。


 祖父母に会いに行ったり、懐かしい高校時代の友達と集まったりして、故郷での日々はあっという間に過ぎていった。


 毎晩、佑典との電話やメールは欠かせない。


 その合間を縫って、和仁さんとの連絡も・・・。
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