誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「理恵が帰省している間、僕は離島にいたからね。離島とはいっても、観光地としてかなり開発されているんだけど」


 今度は和仁さんが、離島で過ごした出張の日々の話を始めた。


 フェリーに乗った話から、撮影の話まで。


 港に、観光客からもらうお菓子目当てで住み着いているカモメがいて、それを撮影して私に添付メールしたと。


 漁港でおこぼれに預かれるため、猫も多数住み着いていて、返信があったら次は猫の画像を送信しようと予定していたとも。


 「撮影中に寄って来るカモメもいて、ちょっと怖かったよ」


 「えっ、襲ってくるんですか?」


 「エサをねだってるんだとは思うんだけど、なんせばかでかいから怖いんだよね」


 「カラスくらいの大きさですか?」


 「そうだね・・・。これくらいあったのもいたから、カラスより大きかったね」


 和仁さんは両手で、だいたいのサイズを示してくれた。


 と、その時。


 腕を伸ばしたついでに、私の肩を引き寄せ、そのまま抱きしめた。
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