誘惑~初めての男は彼氏の父~
 唇を奪われてしまうと、身動きができない。


 強い力で押さえつけられているからではない。


 求められている安堵感に満たされてしまって・・・抵抗できなくなる。


 まるで口移しに、甘美なる毒を注ぎ込まれてしまったかのように。


 「あ・・・。本当にだめです」


 衣服の下、肌に触れられて。


 身につけているものを外されそうになった時。


 さすがにストップをかけた。


 「今すぐ・・・食べてしまいたい」


 私の抵抗など、微々たるもの。


 と言うよりむしろ、本気で抵抗などしていない。


 結局はされるがままになり、身を委ねていた。


 「・・・?」


 ふと手の動きが止まり、キスの雨がやんだ。


 私は恐る恐る、閉じていた目を開いた。


 途中でやめて、私をじらすつもりなのかと思っていたら・・・。


 「佑典とこういうこと、した・・・?」


 「え・・・!」


 どうして勘付いたのかは分からない。


 私はどう対応していいものか、言葉を失った。
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