誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「佑典とはいつ会った・・・?」


 身動きが取れないように強く抱き、耳元で囁くように尋ねてくる。


 旅行に行ったことは話したくない。


 その旅行の際、佑典と初めての朝を迎えたことも。


 「話したくない事情でもあるのかな」


 試すような問いかけを繰り返されても、私は口をつぐんでいた。


 そのまま無言を貫いていると、和仁さんの疑惑は徐々に確信へと変わっていった模様。


 「佑典は美味しかった・・・?」


 完全に察してしまった。


 「僕が離島に行ってた隙に、かな。油断ならない女だね」


 まるで私がこの人を裏切ったかのような口ぶり。


 裏切り者に罰を与えるかのように、ゆっくりと私の身体をもてあそぶ。


 「離してください」


 思わず車から逃げ出そうとしたけれど、暗くてドアの開け方が判らない。


 間違えて窓を開けてしまったり。


 ドアはロックされているのかも。
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