誘惑~初めての男は彼氏の父~
 最初、私の体がおかしくなったのかと思った。


 誰にも言えないような、事実上の二股関係。


 しかも相手二人は、血縁関係。


 そこから来る罪悪感が、私を怯えさせているのかと思っていた。


 ところが先日、和仁さんと車の中で・・・。


 その時体に満ち溢れた、とろけるような甘い刺激。


 キケンな情事、強引に迫られイケナイ関係を結ぶ・・・というスリルが私を燃え上がらせているのかもしれないと思った。


 そう考えると、佑典に対して申し訳なくてたまらない。


 誠実に愛を注いでくれる人に、私はこの上ない残酷な裏切りを続けている。


 「・・・たら、」


 「え?」


 佑典の腕の中にいるにもかかわらず、和仁さんのことを考えていた私は、佑典の言葉を聞き逃した。


 「ごめん。声が小さかったかな。・・・俺が大学卒業したら、一緒に住まない?」


 「え・・・」


 「もちろん、結婚を前提とした同居ってことで」
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