誘惑~初めての男は彼氏の父~

現在

 「理恵(りえ)、これからカラオケ行かない?」


 この日の大学は四講義目が、私たちの最終授業。


 それからカラオケにと、同じ学科の友人たちに誘われたのだけど。


 「ごめん、今日は」


 「バイト?」


 「いや・・・」


 一瞬沈黙の後、


 「中田さんだ。ああ、そういうことね」


 友人たちは気がついた。


 中田佑典(なかたゆうすけ)・・・教室のドアの辺りに、私の彼が待っている姿が見えたのだ。


 「ごめんね、邪魔しちゃって」


 「また明日」


 「中田さん、お疲れ様でした」


 私たちを置いて、友人たちはカラオケに向かっていった。


 そして・・・。


 「じゃ、帰ろうか」


 「ん」


 「食事、どっか行ってみたいところある?」


 今日は帰りに、佑典と一緒に食事をする約束だった。


 「駅前にオープンした、パスタ屋さんなんてどう?」


 「いいよ。行ってみようか」


 行き先は確定した。
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