誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「また会わない?」


 次の約束を交わし、それから何度もこうして和仁さんと会った。


 引き寄せられるかのように。


 回数を重ねるうちに、身体を重ねるという行為にも慣れてきた。


 男を喜ばせる方法も学んだ。


 ・・・そんなある夜のことだった。


 抱き合った後、私が眠ったと思った和仁さんは、そっとベッドを抜け出した。


 バスルームの前で誰かに電話をかけた模様。


 「・・・もしもし、父さんだ。さっき着信あったけど急ぎの用か?」


 ・・・父さん?


 覚悟はしていた。


 こんな素敵な人、周りが放っておかないって。


 この年まで独身のはずなんかないって。


 不倫。


 その言葉が私に重くのしかかった。
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