誘惑～初めての男は彼氏の父～

　｢佑典より若い･･･？｣


　私が名指しされているわけじゃないのに、心拍数が上がりそうな緊張感を覚える。


　｢だってそうじゃない？　もしもあの人が理恵より若い女と再婚したりしたら･･･お義母様、なんて将来呼べる？｣


　｢･･･微妙｣


　｢だよね｣


　私の同意を得て、安心したように佑典は私を抱き寄せた。


　｢理恵を愛するようになってから俺は、あの人の自由も認められるようになった。でも限度はあるよね｣


　｢そうね。お父さんにも幸せになってもらいたいしね｣


　｢今は特定の人はいないと思うけどね｣


　和仁さんは佑典を、完全に欺いていると推測される。


　｢お父さんはどんな女性(ひと)がタイプなの？｣


　｢そうだね･･･。テレビを見ている際のリアクションから推察するに、理想は高そうだけど｣


　｢･･･｣


　｢外見はともかく、あの人の好き勝手な振る舞いを全て受け入れられる、相当包容力のある人じゃないと絶対無理なのは確かだよ｣