誘惑~初めての男は彼氏の父~
 帰り道、携帯電話のショップに立ち寄って、使っている携帯を解約。


 電話番号を変えたかったからだ。


 同時にメールアドレスも新たになった。


 携帯に詳しくない母親を、「間違い電話が来る」「迷惑メールがひどい」などと丸め込んで、何とか携帯の新規契約に漕ぎ付けた。


 これでもう二度と、和仁さんからの連絡は届かない。


 バイト先のコンビニも、受験勉強が忙しくなるとの理由で退職。


 家の住所や学校名は教えてなかったので、これでもう和仁さんに見つけられる可能性もないと確信した。


 ただの出張先の遊び、戯れとして片付けてくれていればいいのだけど、万が一ストーカー化されたり、それが原因で家庭崩壊とか発生し、トラブルに巻き込まれるのが怖かったのだ。


 ・・・完全に連絡手段を絶ったおかげで、その後和仁さんに会うことはないまま時が過ぎていった。


 若気の至り、一時の気の迷いで終わるはずだった。


 私の初体験の相手として、心の片隅に記憶が残るだけで・・・。
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