誘惑~初めての男は彼氏の父~
 ・・・。


 依然として辺りは、ペールエールの色のような闇。


 ルームライトの明りが、部屋を琥珀色に染めている。


 時刻は・・・午前三時。


 夏至の頃ならばもうすでに辺りは明るくなっていたはずだけど、今の時期はまだ真っ暗。


 夜明けはまだ先。


 ・・・腕を伸ばし、枕もとの棚の上に置きっぱなしの携帯電話を手に取る。


 やはり予想通り、着信とメールが・・・佑典から。


 だいぶ前、昨夜11時頃にまず着信があった。


 私が電話に出ないから、その後メールを打ってきたようだ。


 内容を確かめようと、本文を受信しようとした時だった。


 「彼氏が邪魔してきた?」


 和仁さんは起きていた。


 「愛し合っている私たちの邪魔をしないで、って返信してみたら?」


 私の反応を楽しむかのような表情だ。


 「馬鹿なこと言わないでください」


 「代理で打ってあげようか」


 私の手から携帯電話を取り上げようとする和仁さんと、しばらくの間ベッドの中でじゃれ合った。
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