誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「と、父さん。何やってんの」


 上半身裸、下半身にはバスタオルを巻いただけの姿で寒空の下、洗濯物を取り込んでいる和仁さんに佑典は慌てた。


 「そんな格好で・・・。近所の目を考えろよ」


 「誰もいないだろ。こんな時間にキツネと悪い猫くらいしか。それ以前に見られたって別に、減るもんじゃないし」


 「・・・そういう羞恥心の減退が、老化への第一歩だからね。早く家に入りなよ」


 「はいはい」


 私の靴を隠すという真のミッションを無事成就させ、和仁さんは室内に戻った。


 「早く服着なよ」


 そうは言われても。


 服は全て自室内、そこには私が隠れている。


 ゆえに和仁さんは躊躇していた。


 「裸で家の中うろうろしないでよ。今日の撮影で、ヌードモデルに感化されたんじゃないの? ・・・まさかモデルと、変なことしたんじゃないだろうね」


 「なに馬鹿なこと言ってるんだ」


 和仁さんは鼻で笑っていた。


 「じゃ俺、シャワーしてくるから。俺が出てくる前に、ちゃんと服着ておいてよ」


 佑典はバスルームへと消えた。


 これは・・・脱出の絶好のチャンスかも。
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