誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「大丈夫でしょうか・・・」


 バスルームから響いてくる水音を確認しても、まだ不安。


 もしかして佑典が飛び出してきたら。


 私の姿を目に留め、和仁さんとの関係を察知したら・・・。


 ここは即、修羅場。


 何もかもがジ・エンドとなる。


 「とりあえず早くここを出よう」


 急いで服を着た和仁さんは私の手首を掴み、急いだ。


 その時、信じがたい出来事が発生。


 「父さん。風呂場の電球切れちゃった」


 居間を通過中、ドアが開く音と佑典の声がした。


 突如としてバスルームの電球が、寿命を終えたらしい。


 「緊急事態だから目をつぶってね」


 今度は佑典が、バスタオルを腰に巻いてバスルームから出てきたのだった。


 まさに不測の事態。


 真っ暗なバスルームでは体も洗えないので、すぐに新しい電球に取り替えようと。


 買い置きの電球が保管されている、居間の戸棚目指して佑典は歩いてきた。


 和仁さんの部屋に戻る猶予はない。


 このままなら鉢合わせてしまう・・・!
< 261 / 433 >

この作品をシェア

pagetop