誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「理恵、ソファーの陰に隠れて」


 和仁さんが小声で指示する。


 やむを得ずソファーの陰に身を屈めた。


 佑典の位置からは、ちょうど死角となるはず。


 だけどちょっとでも角度を変えたら・・・?


 ほんの少しタイミングがずれただけで、大変なことになりうる。


 「あ、父さん。ちゃんと服着たんだ」


 「さっきと形勢逆転だな」


 「緊急事態だからね。今回は特例」


 上半身裸で居間を歩き回る和仁さんを注意した佑典が今度は、逆の立場で居間の戸棚の中をゴソゴソ探し物。


 「えーと・・・。40ワットの電球は・・・」


 なかなか見つからないようで、しばらくの間戸棚の中を探し続けていた。


 「あった」


 ようやく発見し、包み紙をはがし電球を手に・・・。


 ところが手が滑ったのか、佑典は電球を手放してしまう。


 それはコロコロと転がって、なんと私の潜む方向へ・・・!


 当然佑典は拾おうと、追いかけてくる。


 このままじゃ当然、見つかってしまう。
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