誘惑~初めての男は彼氏の父~
 ・・・。


 「理恵が一番綺麗だって。俺も鼻高々だったよ」


 口づけを交わしているうちに、佑典は私の胸の紐を解く。


 ・・・今日顔を出した部員の交際相手の中で、私が一番綺麗だと誰かが口にしたらしい。


 お世辞かもしれないけれど、綺麗だとか可愛いといわれるとやはり嬉しい。


 「ほんと綺麗だよ、理恵は・・・」


 繰り返されたキスの後、強く抱きしめられた。


 「こんな申し分のない女性(ひと)が、俺だけのものでいてくれるなんて。嬉しいよ」


 そんな賛美の言葉を口にしながら、ますます抱きしめる腕は熱を持つ。


 ただ、あまりに一途に想われると・・・。


 心が満たされるのと同時に、底知れぬ罪悪感に襲われる。


 日常は何気なく過ごしていても、こうして佑典に抱かれるたびに、嫌でも思い知らされる。


 「理恵・・・、愛してる」


 体を重ね、私の中に想いを注ぐこの人の腕の中で揺れながら、私は別の男のことを考えている。


 和仁さん・・・。
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