誘惑~初めての男は彼氏の父~
「先日町内会関連の集金があって、父さんが慌てて財布を取り出して支払った時」
「・・・」
息を飲んで佑典の話の続きを待つ。
「その際お札と一緒に、美術館の半券がひらひら舞い降りたんだよね。半券には日付が刻印されてたんだけど、高尚な趣味があるんだと思って、何となく日付だけ記憶していた」
「日付・・・」
「そう。今日になって理恵ブログ見たら、父さんと同じ日に美術館に足を運んでいたのに気が付いて。もしかして偶然遭遇していたのかなって」
・・・佑典のこの言葉で、私は確信した。
佑典は私と和仁さんが一緒に出向いたとは、夢にも思っていないと。
「私は午後に行ったんだけど、お父さんは何時頃いらしたのかしら?」
何気なく聞いてみた。
「日付が刻印されていただけだから、時間までは分からないな。同じ美術館とはいえ広いから、よっぽど同時間にニアミスしないと気づかないかもね」
やはり全く勘付いていない。
「ま、あの人のことなんてどうでもいいよね。それよりさ、この前テレビの情報番組で紹介されていた、三丁目の・・・」
そこから急に、会話が逸れた。
私と和仁さんが同じ日に同じ美術館に出向いていたことなど、佑典にはただの偶然としか映っていない。
「・・・」
息を飲んで佑典の話の続きを待つ。
「その際お札と一緒に、美術館の半券がひらひら舞い降りたんだよね。半券には日付が刻印されてたんだけど、高尚な趣味があるんだと思って、何となく日付だけ記憶していた」
「日付・・・」
「そう。今日になって理恵ブログ見たら、父さんと同じ日に美術館に足を運んでいたのに気が付いて。もしかして偶然遭遇していたのかなって」
・・・佑典のこの言葉で、私は確信した。
佑典は私と和仁さんが一緒に出向いたとは、夢にも思っていないと。
「私は午後に行ったんだけど、お父さんは何時頃いらしたのかしら?」
何気なく聞いてみた。
「日付が刻印されていただけだから、時間までは分からないな。同じ美術館とはいえ広いから、よっぽど同時間にニアミスしないと気づかないかもね」
やはり全く勘付いていない。
「ま、あの人のことなんてどうでもいいよね。それよりさ、この前テレビの情報番組で紹介されていた、三丁目の・・・」
そこから急に、会話が逸れた。
私と和仁さんが同じ日に同じ美術館に出向いていたことなど、佑典にはただの偶然としか映っていない。