誘惑~初めての男は彼氏の父~
***


 それからしばらくして。


 大学からの帰り道、ちょこっと部室に顔を出したいという佑型を、私は廊下で待っていた。


 ミーティングの際は部室は聖域と化すので、部外者である私は中に入らず廊下で待機。


 「あ、理恵さん」


 いつも仲良くしている、他の部員の彼女さんだ。


 「ちょっとお伺いしたいことがあるんですが」


 少々時間を設けてほしいと言われた。


 深刻そうな表情なので、部室の前からはなれて、廊下の突き当りの窓のそばまで向かった。


 「すみません。もっと早くお聞きしたかったんですが、どうしたものか迷ってしまって」


 「何かあったの?」


 彼女のシリアスな表情と、人目を気にするような仕草が気になった。


 「あまり口外できない話なのかな? 秘密は守るから、話してみて」


 「理恵さん、ツイッターかフェイスブックはやってますか?」


 「両方ともやってないけど。ブログなら最近少しかじってるかな」


 「SNSのほうで、噂している人がいるんです」


 「噂? 何を?」


 「・・・理恵さん、援助交際してるって嘘ですよね」


 「え、援助交際?」


 私は言葉を失った。
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