誘惑~初めての男は彼氏の父~
 カタ・・・。


 廊下から何やら物音がした。


 耳にその音が届き、私は焦った。


 「物音が・・・。この家何かペット飼ってるの?」


 「そんなのいないよ。・・・余計なことなんか気にしないで。今は俺との時間だけを優先して」


 「・・・」


 キスを繰り返し、二人の愛の中に没頭しようとは試みるのだけど。


 廊下のほうからカタカタ物音がするので、どうしても集中できなかった。


 カチャ・・・。


 明らかに鍵を開けるような音だった。


 「ねえ佑典、待って。誰かが鍵を」


 「誰もいないよ」


 物音に気づいていない佑典は聞く耳を持たず、私の素肌に触れ。


 このまま最後まで・・・。


 ・・・行くのかと思った時。


 「ただいま」


 予想外に男の声が響いてきた。


 「!?」


 私も佑典も思わず飛び起きた。


 これからという時に、予想外の来訪者。


 「お客様・・・?」


 「・・・父さんだ。どうして今日・・・。出張で数日不在って話していたのに」


 「えっ」
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