誘惑~初めての男は彼氏の父~
 ・・・情報を伝えてくれた子は、間もなく彼氏が出てきたので一緒に帰っていった。


 私はもうしばらく、佑典を待つことに。


 新部長と何やら相談をしている様子。


 すると先に、例の内村明日香さんが取り巻きたちと出てきた。


 すれ違いざまに、私と目が合う。


 「佑典さんからはあなたに直接伝えられないと思うので、私の方から単刀直入に言わせていただきます」


 驚いたことに私に話しかけてきた。


 「・・・何かしら」


 突然の事態に戸惑いながら、平静を装って対応した。


 「佑典さんは今、人生において一番大切な時期と言っても、過言ではありません」


 「それが何か?」


 彼女である私が、そんなの誰よりも分かっていることなのに。


 何でこんな年下の子に、上から目線で指摘されなければならないのだろう。


 少々むっとしながら、彼女の言葉の続きを待った。


 「あなたはちょっと、自覚がないみたいですね。なぜ佑典さんを困らせるようなことばっかりするんですか」


 「佑典を困らせる・・・?」


 「佑典さんがコンクールの練習や採用試験の勉強に忙しいのをいいことに、あなたは暇を持て余してるのか、遊んでばっかり」


 「私が?」


 「しかも派手に遊びすぎて、佑典さんの耳にも噂が入ってくるんですよ」
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